83. 杜遷(とせん)梁山泊開山時からの最古参。席次八十三位、地妖星を司る。異名は摸着天。雲をも掴む巨躯を誇り、かつては副首領として初期の山寨を支えた。新参の豪傑たちに席次を譲りつつも、歩兵軍将校として長きにわたり組織の基盤を維持した。方臘討伐の清徳軍攻めにて、乱戦の中で馬に踏みつけられ戦死。創設期を知る生き証人の最期は、一つの時代の終焉を象徴するものとなった。84. 薛永(せつえい)薬売りを隠れ蓑にした流浪の武人。席次八十四位、地幽星を司る。異名は病大虫。軍人一家の出ながら零落し、棒術の腕一本で江湖を渡り歩く中、江州で宋江を助けて入山した。寡黙に実戦を重ね、歩兵軍の将として前線を支え続けたが、方臘討伐のc嶺関攻めにおいて、敵の猛将ホウ万春が放つ無数の矢を浴びて絶命。家名を再興する夢は、戦場の露と消えた。85. 施恩(しおん)「快活林」の利権を握っていた元獄吏。席次八十五位、地伏星を司る。異名は金眼彪。武松に窮地を救われた縁で義兄弟の契りを結び、後に二竜山を経て梁山泊へ。組織内では歩兵軍将校を務め、常に武松の影として付き従った。しかし、方臘討伐の常熟攻めにて、不慣れな水上戦に巻き込まれ溺死。武を誇った義兄より先に、冷たい水底へと消えるという非情な運命を辿った。最古参として組織の変遷を見届けながら最後は踏み荒らされた杜遷、家柄を失い実力で再起を図りながら矢に貫かれた薛永。それに対し、自らの力不足を自覚しながらも義兄弟への情誼に殉じた施恩。最下層に近い席次でありながら、梁山泊の激動をそれぞれの立ち位置で駆け抜けた三名の生き様は、義に集った男たちの切なさを物語っています。